2011/01/21

『UNDERGROUND』no.2

※『UNDERGROUND』no.1からの続きです。
初めての方は最初からどうぞ。→ no.1



『UNDER GROUND』出版までの経緯  2004〜




















↑ 自費出版バージョン
最初に制作したものは手作りで、本文の色は「土」をイメージした茶色と「暗闇」「空間」「水」をイメージした水色の2種類。イラスト部分はまったく同じデータ。背景色の違いでイメージがどう変わるかの実験でもありました。




1 退社→制作

2004年1月、絵本をつくるデザイナーになりたいと、デザイナー・チーフデザイナーとして6年勤めた広告制作会社を退社しました。ツテもなく、仕事もなく、だんだん不安になってきて、時間ばっかりあるなか、制作を始めました。
テーマは「確かに存在しているけど、目には見えにくいもの」です。先が見えないまま、右往左往している自分を重ね合わせながら、ちまちま描いていました。



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2 展示

神保町にある(株)竹尾 見本帳本店2Fで約4週間、グラフィックデザイナー工藤強勝氏の展示と同時開催で、展覧会を行いました。






















■若いグラフィックデザイナー23名による
「書物の形・色・素材」実験作品展示
■会期/2004年11月9日〜12月3日 
■会場/竹尾 見本帖本店2F(東京)

























本文はファインペーパにインクジェット出力。ページごとに用紙の種類を変えています。展示後に販売することを考慮して50冊制作しました。基本的には手作業ですが、表紙の箔押しや製本所など、自分の手でできない加工は。少部数でも対応してもらえる工場を足で探しました。


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3 自費出版
















『STUDIO VOICE』vol.352 掲載誌/2004


展覧会に合わせて制作したものを、オンサンデーズ(外苑前)さんで取り扱いが始まりました。最初は「初めだから、流通にのせることを考えず、好きなこと、やりたいことを心置きなく試そう」と思っていたのですが、一般書店での流通に憧れるようになり、嗜好性が強くコストもかかりるということで、国内での売込みはうまくいきそうになかったので、海外での可能性を考えるようになりました。



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4 海外で売込み

板橋区立美術館の活動からボローニャブックフェア(イタリア)の存在を知り、2005年に売込みに行きました。語学が得意ではないので、コンセプトシートやカット表など、思いつく資料は全て英語でそろえ、出版の可能性を尋ねてまわりました。


ボローニャブックフェアの会場と売り込み風景(2005/2006)
『UNDERGROUND』以外にも、いくつかの絵本企画を持って行きました。


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5 出版契約

売り込み最初の年に出版を希望してくれるところがあったのですが、その後の連絡がうまくいかずフェイドアウト。やきもきしているうちに1年が経ち、再びボローニャへ向かいました。その年別の小さな出版社(La Joie de lire/スイス)と出版契約を結びました。(2006年)
















「pooka」掲載誌/2006




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6 原稿制作→出版

ページ数や内容の調整など、メールでやりとりを重ね、2006年夏に入稿データを送りました。しかし印刷に関してお互いの勘違いがあり、2007年春、再びボローニャで打ち合わせ。夏に最終原稿を郵送し、同年の秋、フランス(モントルイユ)のブックフェアでやっと出版されました。





















モントルイユのブックフェア(パリ)/2007


















出版社「La Joie de lire」カタログ表紙/2008



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7 Salon de Livre 2008

パリ郊外のモントルイユで毎年開催される児童書のブックフェアでサイン会を行ないました。出版社のブースでサイン会を行い、初めて自分の本が流通していることを実感しました。











イラストレーション誌
vol.176(玄光社)掲載 2009















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現在、国内での取扱店はありません。
パリへ旅行へ行った人から、たまに書店で見かけたと聞くとうれしくなります。
※リトルプレス版は「ON SUNDAYS」(東京/外苑前)さんに置いてもらっています。

文字のない絵本なので、いつか日本でも出版されたらいいなーと思っています。
原画展もそのうち。。。


『UNDERGROUND』出版までの話 はここまでです。